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2010年 03月 29日
それは思いがけず突然に
私の心が満たされた瞬間だった。 それまで年上とばかり過ごしていたからだろうか 年甲斐もなく、10も年下の青年の笑顔や一言で 世界が一変してしまった。 彼は私の生徒だ。 陶器の勉強をするために入ってきた。 高校を卒業して大学に入ったけれど、自分の進む道ではないと潔く退学し、 親への返金とこの学校の入学のためにバイトに明け暮れたという。 きっかけは、作品展のための質問だった。 あまりに熱心で、通勤に時間がかかりすぎる私は 携帯のメールアドレスを教えた。 毎晩、メールがきた。 「どうしても小物で勝負したい」 「それじゃ、賞は狙えませんか?」 若すぎる質問。小物でも大物でも一目を惹いて 心に語りかける何かがあれば賞をとるのだ。 私はこうして講師を引き受けたけど、作家として自分を見つめれば不安材料がいっぱいで、 いつもそれを生徒に気づかれないようにすることがせいいっぱいで・・・。 毎晩やってくるメールに、とりとめない内容もつけくわえて返事をした。 彼にとって意味を感じなくても私には重大な意味がある言葉を。 最初つきあった人は、青磁のような薄くて品のあるお皿を 作らせたら右に出るものはいない と言われるほど若手で期待されていた人だった。 その人が自分の彼氏だというだけで、私も何者かになった気でいた。 そんな過去の恋愛ごとを連ねたのだ。 そしていつの日か、彼は言った。 「先生、今度ひまですか?僕とデートしましょう」 この時、すでに私は彼にまいっていた。 私が毎日来るメールに出していた恋愛経験の中で こう返事をしてきた時から。 「先生はいろんな形の恋愛をしてこられたんですね。 かなわないなぁ、だって先生の作品は、どれも恋をしてる匂いがする」 ドキッとした。 なぜなら、私は土をこねて形にするまで 情事のことばかり考えているから。 土をこねる手がしなやかになるし、手からもじんわり汗をかいてくる。 不思議に出来上がった作品は、恍惚感がにじみでてくるものに仕上がる。 色気のある作品。最初の頃はそれでもてはやされた。 でも今は、飾る陶器でなく、使って欲しいと思うようになった。 だから壁にぶちあたってる。 そう言われたわけじゃないのに、見透かされたようで いけないことをした子供のように下を向いてしまった。 「だからおれ、先生の作品大好きなんです。だからこの学校にしました。」 ありきたりのセリフなのに、なぜこの青年に言われるとドキドキするんだろう。 初めてのデートは、なぜか遊園地だった。私の年を考えたら?マークが飛び交いそうだか、 まだ22の彼は、遊園地なんだろうか ジェネレーションギャップを感じながら、一緒に遊んでいるうちに 自分も22のつもりになってきた。 観覧車に乗ってる時に、涙がこぼれてしまった。 なんで、こんな悲しいんだろう。 あまりに綺麗な夕日にそのまま私も沈んでいきそうで・・ 年の差がそんなに気になるのだろうか・・・ 違う・・・私は羨ましいのだ。 まだまだ夢も希望もあるこの青年が そして満面の笑顔で私に汚れないオーラを放つ青年に いつのまにか泣けてくるほど好きになっていた。 いまでは、後ろから歩いてくる足音で彼だとわかる。 32と22、いまはいい、でも42と32 52と42、・・・果てしなく果てしなく交わることがない 彼と並んで歩いて違和感がなくなるのは・・72と62? ばかみたいなことを考えてしまって泣けてきたなんて 心配している彼にはいえない。 彼は生徒だ。 私は結婚に焦っている。作品に戸惑いがあるのもそのせいだ。 急に路線を変えて家庭食器にめざめたのも 家庭に、あの甘い匂いのする永遠の約束を手に入れたいから・・ だから、その遊園地のデートを最後に 心に封印した。 彼は生徒だ。
by soritant
| 2010-03-29 11:54
| 短編小説「はつこひ」
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