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kodomiru(子供と見る風景)
http://www.kodomiru.com mail: info@kodomiru.com ”絵本とわたしとこどもたち”の利用につき管理者の許諾を得ずに、当サイト内のあらゆる画像や文章をなどの情報を無断転載することは著作権侵害にあたる行為のため禁止します。 <読んでいる本> 三国志 野に出た小人たち <最近読んだ本> すももの夏 クロニクル千古の闇 最終巻 決戦のとき 500年のトンネル 上下 500年の恋人 <最近嬉しかったこと> 私より年上の「白鳥」と「星の王子様」の面倒を見る事になったこと。 "CopyRight(C) 2006 - 2010sorita All right reserved." 以前の記事
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2010年 03月 30日
![]() イースターのおはなし ターシャ・テューダー ないとうりえこ やく メディアファクトリー 息子たちが通う園の新学期は、イースターから始まります。 毎年、うさぎが隠したイースターエッグを見つけるのが 子どもたちの楽しみでした。 今年は、我が家にイースターバニーが来るといいなぁと みんなが待ちこがれています。 イ−スターの絵本は、そう多くはありません。 そしてわかりやすいものというと、もっと厳選されます。 このターシャの本は、開いた頁から ターシャらしい時間が流れますが それよりイースターというものが どう生活と結びついているのか ということを、とてもわかりやすく描かれています。 イースターが近づくとお母さんが新しい服を縫う準備をしたり 十字もようのパンがおちゃの時間にでると グッド・フライデーということがわかり 『あさって』がイースターだと知ります。 イースターの日に何が起こるか 誰にもわからないそうです。 イースターがどんなひ?と子どもに聞かれたら 小さな子には、この本がよくわかると思います。 確かにイースターの日には何が起こるか 誰にもわからないは本当かも。 なぜなら、ロッタちゃんのイースターは まさにそんな感じだったから。 ▲
by soritant
| 2010-03-30 21:57
| 春の絵本
2010年 03月 29日
それは思いがけず突然に
私の心が満たされた瞬間だった。 それまで年上とばかり過ごしていたからだろうか 年甲斐もなく、10も年下の青年の笑顔や一言で 世界が一変してしまった。 彼は私の生徒だ。 陶器の勉強をするために入ってきた。 高校を卒業して大学に入ったけれど、自分の進む道ではないと潔く退学し、 親への返金とこの学校の入学のためにバイトに明け暮れたという。 きっかけは、作品展のための質問だった。 あまりに熱心で、通勤に時間がかかりすぎる私は 携帯のメールアドレスを教えた。 毎晩、メールがきた。 「どうしても小物で勝負したい」 「それじゃ、賞は狙えませんか?」 若すぎる質問。小物でも大物でも一目を惹いて 心に語りかける何かがあれば賞をとるのだ。 私はこうして講師を引き受けたけど、作家として自分を見つめれば不安材料がいっぱいで、 いつもそれを生徒に気づかれないようにすることがせいいっぱいで・・・。 毎晩やってくるメールに、とりとめない内容もつけくわえて返事をした。 彼にとって意味を感じなくても私には重大な意味がある言葉を。 最初つきあった人は、青磁のような薄くて品のあるお皿を 作らせたら右に出るものはいない と言われるほど若手で期待されていた人だった。 その人が自分の彼氏だというだけで、私も何者かになった気でいた。 そんな過去の恋愛ごとを連ねたのだ。 そしていつの日か、彼は言った。 「先生、今度ひまですか?僕とデートしましょう」 この時、すでに私は彼にまいっていた。 私が毎日来るメールに出していた恋愛経験の中で こう返事をしてきた時から。 「先生はいろんな形の恋愛をしてこられたんですね。 かなわないなぁ、だって先生の作品は、どれも恋をしてる匂いがする」 ドキッとした。 なぜなら、私は土をこねて形にするまで 情事のことばかり考えているから。 土をこねる手がしなやかになるし、手からもじんわり汗をかいてくる。 不思議に出来上がった作品は、恍惚感がにじみでてくるものに仕上がる。 色気のある作品。最初の頃はそれでもてはやされた。 でも今は、飾る陶器でなく、使って欲しいと思うようになった。 だから壁にぶちあたってる。 そう言われたわけじゃないのに、見透かされたようで いけないことをした子供のように下を向いてしまった。 「だからおれ、先生の作品大好きなんです。だからこの学校にしました。」 ありきたりのセリフなのに、なぜこの青年に言われるとドキドキするんだろう。 初めてのデートは、なぜか遊園地だった。私の年を考えたら?マークが飛び交いそうだか、 まだ22の彼は、遊園地なんだろうか ジェネレーションギャップを感じながら、一緒に遊んでいるうちに 自分も22のつもりになってきた。 観覧車に乗ってる時に、涙がこぼれてしまった。 なんで、こんな悲しいんだろう。 あまりに綺麗な夕日にそのまま私も沈んでいきそうで・・ 年の差がそんなに気になるのだろうか・・・ 違う・・・私は羨ましいのだ。 まだまだ夢も希望もあるこの青年が そして満面の笑顔で私に汚れないオーラを放つ青年に いつのまにか泣けてくるほど好きになっていた。 いまでは、後ろから歩いてくる足音で彼だとわかる。 32と22、いまはいい、でも42と32 52と42、・・・果てしなく果てしなく交わることがない 彼と並んで歩いて違和感がなくなるのは・・72と62? ばかみたいなことを考えてしまって泣けてきたなんて 心配している彼にはいえない。 彼は生徒だ。 私は結婚に焦っている。作品に戸惑いがあるのもそのせいだ。 急に路線を変えて家庭食器にめざめたのも 家庭に、あの甘い匂いのする永遠の約束を手に入れたいから・・ だから、その遊園地のデートを最後に 心に封印した。 彼は生徒だ。 ▲
by soritant
| 2010-03-29 11:54
| 短編小説「はつこひ」
2010年 03月 29日
最上階だから、向かいに建物がないから、
窓を開け放したまま 裸でシーツにくるまりながら コトを終えた私たちは寝ていた。 足をのばせば、ごつごつした彼の足に触れる 最初は腕枕をしたはずの彼の腕も向こう側でだらんと投げ出されていた。 明るすぎる月夜に照らされた部屋で 裸のまま足を投げ出して空を見つめた。 月夜で星もかくれんぼしてる 私もかくれんぼしてる 急に歌いたくなった私は、適当に作って口ずさんだ。 ひとりでかくれんぼぉ だれもみつけてくれないぃ 寂しいけど それもいいときがあるのよぉ 寒くなって近くのタオルケットに手を伸ばす。 くるまったまま、横たわり、月夜を眺めた。 虫の声・・・静かすぎる湿った空気 彼に恋をしたばかりの頃は 毎日時間を忘れて話をした。 どこにいくにも新鮮で、いつも通っていた道でさえ まばゆい光を放っているように見えた からだを重ねれば重ねるほどに 何かから遠ざかる音がした 真冬のような暗闇が時々、隙間をぬって心を支配する はじめてあった笑顔に惚れて はじめて手をつないだ温度に惚れて 瞳を交わすたびにキスをした。 なんでだろう。 わかればわかりあうほどに、全てが色あせていく 言葉も刃を放ち、深くふかく心に刺さる。 刺さったまま、抜けずにいて、また刃が増えていく いつもいるのに、ひとりぼっちのような さみしい思いをするようになったのは なぜだろう。 ずるずるタオルケットをひきずりながら キッチンとはいえないような、 玄関と台所とお風呂とおトイレが一つの部屋に閉じ込められた まるで、「お家ごっこ」のような場所 に、ビールを取りにいった。 缶のまま口に含み、しばらくひんやり冷たいビニールタイルの 上に立ち尽くす 遠くで寝ている彼は、もう私は、男として見られなくなっている たぶん、彼もそうだ、私を「女」としてみていない 嘘を重ねるように、体を重ねてごまかしていた。 酸いも甘いも、悦びもみんな彼に教わった。 それもみんな今日の月夜に閉じ込めよう 私の中に確かにあった恋心だった欠片と一緒に。 ▲
by soritant
| 2010-03-29 10:17
| 短編小説「はつこひ」
2010年 03月 29日
いけない恋だと知りつつ恋に落ちました。
妻ある人に心を奪われた、その瞬間は、 誰にもわからないほど些細な出来事がはじまりでした。 あまりにも自由にふるまうその人に まさか妻がいるとも知らずに・・・。 涙が出るほど愛おしくせつない感情が 自分の中に狂おしいほど溢れてくるとは 思いもしなかった。 それまで誰にでも優しい、そして弱き者をバカにする人が 彼氏だったせいでしょうか。 私は両手いっぱいの仕事の資料を持って、 その上司に言われるままに後をついて会社の外にでました。 重すぎるそのドアを支えるでも、待つでもなく さっさと自分は通り抜け歩いていくその人の行動に 誰にでも優しくするわけでないその所作に なぜか恋をしました。 「本当に大事な人だけを大切にする人に違いない」 人に話すとあきられるけど、本当にそれが恋に落ちた瞬間でした。 毎日、朝から晩まで一緒に営業活動をしてたからでしょうか。 いつしか、恋が実り二人の時間を過ごすようになりました。 文字通り、私の身も心も支配してしまったその人は 家に帰れば妻がいる。 別れて私と一緒になってください。 そんな言葉も言うこともなく、また不思議に思うこともなかった。 きっと、その人が家庭の匂いを全くさせなかったからかもしれない。 体を重ね、それだけが確かだと感じる瞬間。 確かに私たちは恋をしている。 知らない間に眠りについた頃、彼はそっとドアを開けて帰路につく。 着いた頃に「おやすみ」とメールが鳴る。 朝も「おはよう」とメールが来る。 会う約束がない日、夜7時すぎたら連絡はしない。 約束をしたわけではないけれど、必ずそうしてきた。 一度だけ会いたい。とわがままをいって日曜に逢った。 桜も散り、葉桜だけの川沿いを二人で歩いた。 あまりにも陽射しがまぶしくて、あたたかで、 水面も、道ばたの小さな雑草さえ輝いていた景色が 現実の私たちは何者にもなれないと訴えているようで 急に悲しくなった。 私に意気地があったなら、「一緒になれない?」 と言えただろうか。 あれから5年。 私は忘れ形見の娘と二人で 彼と会うことはない、知らない土地で暮らしている。 突然の死。 彼は、交通事故で空の国にいってしまった。 お葬式に顔を出せるわけがない私は、 ひっそり家で彼の写真を眺めていた。 その2ヶ月後に妊娠していることがわかった。 私が1人で過ごすことをとても心配していた彼 なのに、1人で先に空にいってしまった。 私にギフトをのこして。 体を重ねあうことだけが、 唯一実感できる、私たちの確かな愛の形だったけど・・・ 心も通いあえたから、子供も授かることができたのだろう。 あやまらないといけない場所はたくさんある。 でもそれはしない。 子供と正直に生きようと決めたから。 娘が2歳になった時、手紙がきた。 手紙の主は、彼の奥さん。 「私はずるい女です。寺田から、何度も離婚の話をされてました。 自分の年齢や何より彼を愛していたから、 どうしても判子を押すことができませんでした。 人づてに、もしかしたら寺田の子供を出産したかもしれないと聞きました。 もしそうなら寺田が死ぬ前に、入り直した生命保険は、あなたたちが受けとるべきもの。 あなたが受け取ってください。受け取り主もあなたです。 直接お会いすることはお互いに色々あるでしょうから、代理人をたてました。 下記の方がいずれ伺うと思います。 寺田から聞いているあなたの人柄を考えると、 けして受け取らないとおっしゃるかもしれません。 でもお子様のためにぜひ受け取ってください。 寺田が最期に示した、あなたへの誠意です。 ごめんなさい。 私の我がままで、お子様を私生児にしてしまったこと、 私たちには子供がいませんが、もし自分の子供だったらと考えたら・・・ 悔やまれてなりません。 御会いすることはないと思いますが、お元気で・・・・。 少しですが寺田の遺品を送ります。 このお知らせが遅くなってしまったこと、許してくださいね。」 言葉にならない感情が次から次へと溢れてきた。 責められるべきは私なのに・・・。 知らんぷりだってできるのに・・・。 彼が一度だけ言っていた。 「俺のかみさん・・・無口で話さないんだ。でもすごく愛に溢れ 母を超えた愛を持っている人なんだ。・・・わるいな」 彼は心から二人の女性を愛したのだった。 どちらも大事で、大切で、愛おしく、 だから苦しんだ。 単純なありきたりの「浮気性」とか「気が多い」 わけではなく、自分の生活に「二人の女」をおいてしまった。 手紙の中に彼が毎日していた時計があった。 いまは私が毎日はめている。 娘が大きくなったら、パパの全てを話してやろうと思う。 どれだけ素敵な人だったかを。 ▲
by soritant
| 2010-03-29 10:14
| 短編小説「はつこひ」
2010年 03月 29日
お元気ですか?
私は、あれからケッコンして子供も産みました。 立派かどうかはわからないけれど、ハハをやっています。 最初に会ったのは、仕事での打ち上げの飲み会でしたね。 お互いに裏方のような役割だったので、その時会うまで 存在さえ知りませんでした。 お洒落な肩書きの仕事の割には、なんだか風変わりな・・ 格好で、 お酒を飲んでもいないのに、ハイテンションなお兄さんで、 おもしろい人という印象でした。 いつからでしょうか?仕事をよくするようになって 電話がかかってきて、よく夜中のファミレスに行きましたね。 普通ならムッとするような、注文間違えや、 とんちんかんなサービスなのに、あなたはいつもニコニコしていました。 「あーゆー一生懸命働いている人好きだ」 と言いましたね。 私は心が狭いのかそういう感覚は持ち合わせてなくて 新鮮で・・・なぜか急にドキドキしてしまいました。 仕事の帰りによれるならよってと言われ 取材の帰りにあなたの仕事場によると・・ 2冊の本をくれました。 わざわざ新品を買ってきてくれて・・・ 「返さなくていいから、プレゼント。遠藤周作。 母なるもの はいいよ。読んでみな」 ぶっきらぼうに渡してさっさと自分は暗室に入っていきました。 なんで優しくするのかな。 仕事でとんでもないものひきうけそうになった時も 「時間ある?」 この一言で喫茶店にいきましたね。 初めて会った時には、たくさんおしゃべりしてくれたのに だんだん口数が減っていって、それは結婚が決まったからかな? と思っていたのに・・・妹のような扱いでもないし・・・ なんで優しくするのかな? もうすぐお嫁さんもらうんだよね。 そんなことも言えない私。 「おまえね、アホになるのはいいけど、バカにはなるなよ 俺はバカは嫌いだ、」 俺はバカは嫌いって・・・わざわざ私に言うのはなぜ? なぜ?どうして? 頭の中はそればかり・・・でも聞く勇気はないの。 べつにっ・・・・あんまりバカだから、 って言われそうで・・・。 どうしていますか? 時々、雑誌で名前を見かけます。 大きな仕事されていますね。 そうそう言ってませんでしたね。 独立おめでとうございます。 素敵な写真をもっと素敵に撮る人でした。 万に一つしかないシャッターチャンスを逃すことのない人でした。 たった一つの御饅頭さえ一生懸命ファインダーを通して ひかりを逃さない人でした。 あの夜、がんばれよ 頭をぽんぽん された時に 泣きましたよね。 あなたは言いました。 「なぐさめたいけど、今はなぐさめてやらん」 大事な時に、くれた数々の言葉。 今でも私の役にたっています。 母になった今、あなたがくれた遠藤周作さんの本は 胸に深く刻んでいます。 この本の影響かわからないけど・・教会に通っているんですよ。 元気ですか? 逢ったら伝えたい 「ありがとう」 ▲
by soritant
| 2010-03-29 10:07
| 短編小説「はつこひ」
2010年 03月 29日
中学2年の時、クラスで洋楽が流行った。
それは兄や姉がいる子たちからの影響だった。 深夜までラジオやテレビで楽しんでいたらしい。 その頃の私は、友達と童話を書くのが流行ってた。 数少ない仲良しの容子の所に遊びに行った時に、 ジャケットカバーがお洒落な、洋楽のLPがたくさん置いてあるのを見て、 それまで松田聖子などを聞いていた私は一変した。 シンディローパーにマドンナ、スターシップにボンジョビ・・REOスピードワゴン。 毎日、毎日、FMFANとFM STATION片手にエアチェックをはじめ、 眠たい目をこすりながらMTVに釘付けになった。 お兄ちゃんがいる同級生グループはちょっと異色だった。 話すことも大人びてた。 その中に一人の男の子がいた。 高田君。 よく私に話かけてきてくれて、ダビングしたテープを頼んでもいないのくれた。 「これ好きだろう?」って。 童話を書き合う交換日記をしていた頭のいいともちゃん。 その子がある日、私にいった「高田は春香が好きなんだよ」 そんなこと思いもしなかった私は、妙に意識してしまった。 彼は卓球部で、私は美術部にいたから部活動の接点がない。 部の活動で校舎の写生場所を体育館の横の場所に決めた。 そこから見える校舎と中庭の向こうに見える広い空が私は好きだったから。 オレンジとも黄色ともいいがたい柑橘系の色に染まっていく様子を毎日描いていた。 高田君は毎日声をかけてきた。 たわいもない会話。 からかうでもない、ちょっかいを出すのでもない静かな会話。 私と彼の一瞬の世界。 「だいぶ書き上がってきたね、卓球地味だけど面白いよ、覗きにきてよ。息抜き、息抜き」 誘われて見にいって、見方が変わった。 卓球はスポーツだった。 小さいラケットを振り回すだけで、青空もなく、 地味な印象だったけど、一生懸命うでをふり、 早いスピードでピンポンがいきかうのは、見ていて面白かった。 目があうと黙って手をあげた仕草を今でも思い出す。 それからしばらくして、ある日突然「一緒に帰ろう」と言われた。 反対方向なのに。私は右で、彼のお家は左の道。 そういうと、途中まで帰ろうということになった。 いまおもえば、そんなことわかっているという顔だった。 バイクの話や音楽の話、プロレスの話、 どれも彼が大好きな話を楽しくしてくれた。 そして、分かれ道に入った時、 「俺さ、好きなんだよね、だからさ、つきあうってよくわからないけど、 彼氏と彼女ってものになってみようよ」 答えをきかず、じゃ、考えておいて! と慌てるように帰ってしまった。 1人での帰り道、ちょっとくすぐったいような、 とても嬉しい気分で歩いた。 つきあいはじめた私たちは、時々手紙を交換したり、ほんとに時々一緒に帰ったりしていた。 それを見て、やきもきした友人が、お祭りいこうよ!と誘った。 昼間の祭り、隣の街まで自転車を2人乗りして向かった。 危ないから腰もてと言われて、ドキドキして服をつかんだ。 夏休みに入ってからも執拗に友人カップルは私たちを連れ出した。 それが原因なのか秋になった時に、友達に戻ろうか?と言われた。 ただ涙がいっぱいで電話だったんだけど30分以上黙ってないてしまった。 どうしたい?と聞かれたから、やだよ。別れたくない その一言を言えばいいのに出なかった。 だって、彼氏と彼女の関係がいやだから高田君はそういってるのに 無理にひきとめられない。いてくれるだけ落ち着いたのに。 14歳だけど、すごくすごく人を好きになるというのを知った瞬間だった。 別れてからも、前と変わらず声をかけてくれた。 その度に嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。 受験する高校が違うと知った時、家で1人で泣いた。 本当に偶然、逢うこと以外顔も声を聞く事もない。 ぼけっと校庭を眺めるふりして、 休み時間にみんなでサッカーしてる高田君の姿を目でおうこともできない。 ある日同じ高校を受験するとうことを耳にした。 彼の頭脳ならもう少し上が狙えるのに・・・ でも、また3年間一緒にいられる。 そう思うだけで嬉しかった。 下校の時、偶然、階段であった、 「同じ高校だな、またよろしくな!」 笑顔で答える君は、私がまだ好きだって知ってるだろ と言ってやりたかった。 きっと彼も心のどこかで思ってくれている。 卒業式にボタンをくださいとも言えず、静かに中学生生活は終わった。 高校に言ってから、クラスが隣の棟になってしまった。 でも、今は同じ帰り道。 下校の途中にある、みんなのたまり場ともいえる駄菓子屋。 彼に会いたくて、私もよくそこに寄り道をした。 友達との会話の合間に少し離れている私にまで 「なあ!そうじゃない?」と同意を求めてくる。 笑いながら「話聞いてないからわかんないよ、でもそうだよね」 と同意すると彼は味方を見つけたと喜んだ。 期待しちゃうぞ。 しばらくすると、隣の棟の高田君の同じクラスの美奈が私に会いにきた。 間宮君が好きだけど、彼、未だにつきあったことがあるのあなただけって聞いて、 ひょっとしてあなたも高田君もまだ好きあってるの? 」 それはわかんないと答えるだけで、自分の気持ちを正直に言えなかった。 誰にも傷つけられたくない、大事な気持ち。 まだ好きなんだって!そんなことも言われたくない。 声を全くかけてもらえなかったら・・・・ それから彼女も本気で好きみたいでアタック猛攻撃が始まった。 アタックし続けて2年。 3年生になった夏、晴れて彼女は「高田君の彼女」になった。 馬鹿な私、そうなる前にアタックすればよかった。 でも、二度とさよならだな、って言われたくなくて そんなことすらできなかった。 その時私は密かに持っていた「高田君グッズ」を封印した。 高田君の鉛筆、消しゴム、キーホルダー。ノート。 中学の時に、集めたもの。 幸いなのは、3年のクラスが彼は隣だったこと。 聞こえる声や、以前よりずっとすれ違うケースが増えた。 それだけで嬉しかった。 2度目の卒業式、美奈に遠慮して、私はまたもや写真さえとれなかった。 なんでこんなに想い続けられるのかな、 彼を見続けて、彼の仕草、彼のおしゃべりじゃない所。 彼の面倒くさがりの所。彼の不器用な所。 だいすき ただそれだけ だから。 社会人になって、偶然会ってお茶をした、まだ美奈とはつきあってるらしい。 思わず「すごいね、高田の彼女歴は、私と彼女だけなんだね、 自慢しよっと、なんだか羨ましいなぁ」と言ってしまった。 そんなことないよ と言うけど ナニガソンナコトナイノカナ・・・。 それから数ヶ月、夜 自宅の電話に出てみると高田君だった。 よくわからないけど、ひさしぶり!とかけてきて、30分ぐらいおしゃべりして、最後に 「俺もまたかけるから、おまえもかけろよ」 なんて言って電話を結んだ。 一体どうしたのか、でも、電話をかけることができなかった。 なんでだろう・・。 しばらくして、実は、美奈と別れたらしいよ、でも随分たってからまた元さやに戻ったんだって と友人から聞いた。 高田のバカ 思わず心の中で毒づいた。 別れたんだ って言えば、誰にも遠慮せずに電話するのに・・ それもわからないから電話もできなかったじゃん。 美奈に遠慮して、美奈が好きな君に遠慮して・・・・ 運命の女神は前髪をひっぱる だったっけ・・. でもすぐにつかまないと女神はすぐに消えるのだ。 私も女神をつかみ損ねた。 しばらくして結婚が決まったと聞いた。 その頃には、静かな気持ちに変わっていた。 今でも好き、その想いは変わらないけど、とても静か。 波がざわざわ荒立つことがない。 彼が好きなら、彼の幸せを願うことができる。 きっとそう思えるのは、子供の恋愛で何もなかったからだ。 ただ想い続けただけの恋だったから。 元気にしてるかな。 シアワセに暮らしてるかな。 ときどき、彼に想いをはせてみる。 ▲
by soritant
| 2010-03-29 10:04
| 短編小説「はつこひ」
2010年 03月 28日
![]() ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ マーガレット・ワイズ・ブラウン / 坪井郁美 ぶん 林明子 え ペンギン社 はにかんだような、でもしっかりと立っている男の子 ちいさな男の子が出た、ちいさな旅は 一本の電話からだった。 それはおばあちゃんのお誘い。 おばあちゃんの家は、まっすぐ、まっすぐの先にある。 初めて出会う不思議な生き物。 でも、みんな怖くなくて、大丈夫。 ひとつ、ひとつの出会いが なんて、ドキドキ、わくわくさせるんだろう。 子どもの目線を確かめたいとき、 例えば部屋の中で、 なかなか子どもの遊びがうまく運ばないとき、 床に座り込んで、子どもの目線で部屋を見回すといい。 すると、不似合いな場所。 取りにくい場所にあるなど、見えないものが見えてくる。 子どもと会話をする時も 子どもの目線までおりることが必要だ。 しゃがんで目線をあわせるだけでなくて 心の目線もしゃがむことを忘れずに。 絵本はそういう意味で、一緒にしゃがめるものがたくさんある。 この絵本もそう。 2歳になりたてのあおが、頁をめくるたびに わくわく、ドキドキして 最後におばあちゃんに会えたときは 2歳なのに、安堵の溜息を漏らした。 そうさせるこの絵本の力はどうだろう。 6歳の双子たちも釘付けだった。 大袈裟なエピソードはないけれど 小さな世界だけど、大きな心で生きている小さなひとたちには 十分たいそうなエピソードなのだから。 心の目も、見える目も、掴んで話さない力を持つ絵本と 子どもが出会えた瞬間ほど嬉しいと感じることはないです。 ただお間違いなく、我が家の子どもたちには大好評だったという記事を読み 我が子も大好評だろうと期待をして読ませては台無しです。 小さな子の本選びは、やはりお母さんの力が大きいなと思います。 本人が選ぶことが多いわ。と仰る方も多いでしょう。 でも、まってください。 厳選された本屋さん、図書館でない限り 本当にいい本なのかどうかは、わかりません。 ではいい本ってどんな本なのでしょうか。 少しずつ紹介したいと思います。 ▲
by soritant
| 2010-03-28 23:50
| 林明子
2010年 03月 28日
ぼくは あるいた
あしが つかれても おなかが へっても ぼくは わらった こころが いたくても ひふが ひりひりしても どんどん どんどん あるいて あるいた もう あるけないと へたばったときに あるけないんじゃなくて あるきたくないんだって。 きづいた。 ぼくは あるきたくないんだ! おっきなこえで さけんだら ぱんってなんかの おとが した それから ぼくは ぼくの きもちで あしを まえにだしたんだ。 ぼくが きめた はじめのいっぽ ▲
by soritant
| 2010-03-28 01:27
| 詩
2010年 03月 28日
高校生になったばかりの時
ここで何ができるのか、 何がはじまるのか、 わくわくしながら校庭を見ていたら、 広いグラウンドの向こうで一生懸命に ランニングしている野球部が目に入った。 なかでも1人だけ目に焼き付いて離れない人がいた。 しばらくして、友人に誘われて野球部のマネージャーの面接に行ってみると、 小、中とソフトボールをしていてスコアを書けることで採用になった。 友人はたぶん可愛いのと真面目だったからかな。 だって、たくさん面接にきた中でも私たちだけ毎日顔を出して 文句も言わずに草むしりを2週間したから。 私は気づくと草むしりをしながら、彼(か)の人を目で追ってた。 高木先輩。 背が高くて、肩ががっしりしていて、笑顔が子供みたいにキュートだった。 友人の美郷は「みっちゃん」と呼ばれて慕われてた。 目が丸くて、ほっぺが丸い、福を運びそうなほっぺ。 笑うと目が垂れて、私から見ても可愛い女の子。 ころころよく笑う、マルチーズのような可愛さ。 私は、たぶん・・・なんだろう。 犬だったら「柴犬」てとこかしら。 高木先輩には双子のお兄ちゃんがいて、 お兄ちゃんの方は野球の推薦で有名校に入学していた。 「わたしね、高木先輩のこと好きなの」 美郷がボールを磨きながらぽそっと言った。 「そうなんだ」 それしか言えなかった。 「でも、えみも好きでしょ。」 違うよと言ってみたけど、 牽制されてはそうだとは言えない。 高木先輩は3年生、今年の夏の大会で引退。 一緒にいられるのは、わずかな時間しかない。 もう5月。 毎日、毎日、試験の後も選抜戦に向けて、 先輩たちは練習していて、すぐ泥まるけになるユニフォーム。 「坂下!これ持ってて!」 不意に高木先輩が、ユニフォームを脱いでアンダーシャツだけになった。 「あっちーー」 そういって、グローブでパタパタさせてる。 汗まみれで泥まみれのユニフォーム 指先に力がはいる。 すぐ後ろで美郷が待っているから手渡す。 一瞬だけ、隣りにいられた感じ。 ある日、プロ野球を部のみんなで見にいった。 阪神対中日戦 ものすごい快挙をみせる阪神。 もちろん私たちは阪神席に座っている。 初めて体験する大阪の凄さともいうべきパワーある応援。 おおいに盛り上がり、声を張り上げて応援した。 ふと気づくと、いつのまにか高木先輩の横には美郷が座っている。 楽しそうにはしゃぎながら先輩によりかかったり手をたたきあったりしている。 帰り道、電車に乗りそびれた私たちは、 阪神タイガースの応援歌を歌いながら、長い高架下を歩いていた。 駅に向かって・・ とても疲れて涙がでそう・・。 涙が出そうなのは、失恋したみたいだったから・・。 先輩のこと好きだからわかる、 先輩が見ているのは、私ではない、 なんだ元気ないな?眠たくなったか? 主将の武田先輩が声をかけてくれる。 武田先輩には、可愛い彼女がいる。 ピッチャーの桂先輩にもモデルのような彼女がいる。 うちの高校、女子レベル高すぎっ! ある時、友人の誰かが嘆いていた。 これじゃ、私たち凡人は、彼氏なんて、 ましてやかっこいい彼氏なんてできっこないじゃん。 相撲とるまえに負けてるよ。 って。 私も負けちゃった。 電車に揺られて、住んでいる町の駅について 同級生が家まで送ってくれて1人になったとき、 我慢していたものがボタボタ落ちた。 遅くなって叱られたけど、それで泣いたんじゃない。 悲しくて、悲しくて、ぼろぼろいつまでも涙が落ちた。 次の日 美郷から、先輩に告白されたと報告があった。 私の心 灰色通り越して真っ黒。 それからどんなに近くに私がいても 先輩は、グローブも帽子もユニフォームも渡さなくなった。 遠くにいても呼ぶのだ「みっちゃーん」 もう先輩の匂いを嗅ぐことはないんだな。 私の恋が終わった音がした。 あまりにもすっばすぎる わたしの初恋。 でも忘れない。 あの素敵な笑顔。 16歳の私が、ときめいたあの日々を 初めて体験した、胸がきゅんと締めつけられる思い。 初めて体験した失恋の涙の味。 高木先輩、坂下は大好きでしたよ。 笑うと目がなくなって子供みたいな表情になる先輩。 試合が負けてきても、絶対にあきらめなかった先輩。 まずいことが見つかると、肩をすくめてごまかしてる先輩。 おちゃらけが好きで、暇があるとふざけてた先輩。 最後の試合の日、目を真っ赤にして、泣きたいのを我慢して ナインをなぐさめてた先輩。 アイスクリームが好きで、ティソーダーが好きで・・ 忘れません、先輩に最後に触れることができたお別れの握手。 あたたかい手でした。 ▲
by soritant
| 2010-03-28 01:14
| 短編小説「はつこひ」
2010年 03月 28日
![]() 島崎藤村 詩 かわかみたかこ 絵 齋藤孝 編 ほるぷ出版 まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり 中学の頃に習った島崎藤村の初恋は いまも忘れず、私の胸の中で輝いている。 気恥ずかしくて、ドキドキしながら 暗唱した覚えがある。 私が書いている短編小説 はつこひシリーズも 島崎藤村が描くこの初恋が大好きだから。 齋藤孝さん編集、 かわかみたかこさんの絵は、現代風でいて 古風な匂いのするコラージュ。 あたらしい藤村の世界へ導かれるかも。 そのうち、娘たちも、もちろん息子も 異性に惹かれる時がくるのであろう。 ▲
by soritant
| 2010-03-28 00:54
| 美しい絵本
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